ビジネスマンの移動スタイルが、馬車からエアコンの効いた東京メトロに変わ
り、大福帳とソロバンをモバイルPCに持ち替え、コミュニケーションの道具が、
24時間、世界中のクライアントと繋がるケータイになっても、文字やイラストを
書いて記録を残すという基本アクションは紀元前3000年前のヒエログリフが使わ
れていた時代と何も変わっていない。
グラフィカルなイラストや、一目で状況判断のできる見やすい表やグラフ、文
字列の強調等、イメージを思いの通り自由自在にコントロールできる「手書きの
世界」を確実に越えるテクノロジー・パワーは未だ登場していない。人の生み出
す偉大なアイデアのイメージ、それらの記録、伝達に「手書き」は人類のみが発
見した最強の手段として、今後も長く継承されて行くだろう。
多くのテクノロジー製品が社会に溢れ、人々がそれに慣れ親しんだ時、人は、
テクノロジー製品同士の「連携」や「連鎖」だけで全ての物事を合理的に運びた
いという願望を抱いてしまう。しかし、実現への道程は長い。テクノロジーの恩
恵を受け、多くのモノが革新的に成長してきた中で、残念ながらイメージを表現、
記録、伝達する要素としての手書き文字やイラストを取り巻く環境は、未だに古
代から大きく変わってはいない。
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