air pen Limited Edition 共同企画第二弾、本革仕様の高級ステーショナリー airpenの活用


竹村譲氏の「airpen」のススメ

DOS/V生みの親としても有名であり、現在はジャストシステムが推進する 次世代文書処理技術「xfyプロジェクト」にも参画中の竹村譲氏に「airpen」に ついて存分に語ってもらった。

 ビジネスマンの移動スタイルが、馬車からエアコンの効いた東京メトロに変わ り、大福帳とソロバンをモバイルPCに持ち替え、コミュニケーションの道具が、 24時間、世界中のクライアントと繋がるケータイになっても、文字やイラストを 書いて記録を残すという基本アクションは紀元前3000年前のヒエログリフが使わ れていた時代と何も変わっていない。

 グラフィカルなイラストや、一目で状況判断のできる見やすい表やグラフ、文 字列の強調等、イメージを思いの通り自由自在にコントロールできる「手書きの 世界」を確実に越えるテクノロジー・パワーは未だ登場していない。人の生み出 す偉大なアイデアのイメージ、それらの記録、伝達に「手書き」は人類のみが発 見した最強の手段として、今後も長く継承されて行くだろう。

 多くのテクノロジー製品が社会に溢れ、人々がそれに慣れ親しんだ時、人は、 テクノロジー製品同士の「連携」や「連鎖」だけで全ての物事を合理的に運びた いという願望を抱いてしまう。しかし、実現への道程は長い。テクノロジーの恩 恵を受け、多くのモノが革新的に成長してきた中で、残念ながらイメージを表現、 記録、伝達する要素としての手書き文字やイラストを取り巻く環境は、未だに古 代から大きく変わってはいない。

アナログ世界とデジタル世界のゲートウェイ

 多少矛盾ある言い分だが、昨今のデジタル時代を快適に生きて行くのに必要な 心がけは、デジタルとアナログを明確に切り分ける潔い決断では無く、人間だけ が出来るちょっとルーズな「アナデジ感覚」だ。

 筆者が「airpen」を愛用する大きな理由は、製品の持つ「アナデジ感覚」に惹 かれているからに他ならない。ユーザは何も考えることなく、文字やイラストを 書き、airpenはそれをデジカメの接写の様に記録してくれる。そして、スタック された貴重な画像データはデジタル世界で共通に活用できる。丁度、airpenが 3000年の歴史ある手書きのアナログ世界と、生まれてたった四半世紀強のデジタ ル世界のゲートウエイ役を担ってくれる。

 airpenと同時にオプションの「InkMagic for airpen」を併用すれば、手書 き文字をまとめてコンピュータで処理可能なテキストとして解読してくれる。文 字だけではなく表やイラストに用いられる手書きの線、四角や丸、矢印など、イ ラストの構成要素も単一の図形として認識、解読、清書してくれる。同じ頁に文 字や図が複雑に入り組んだ状況でも、それぞれの領域を指定してやれば、上手く 効果的に認識してくれる。

他社製品とは一線を画すファッション性

 airpenのライバルは意外と多い。airpenは、専用のペンと特殊なパッド(メモ リーユニット)をペアで使用する。記録する用紙は、ある程度のサイズ以下なら、 市販のリーガルパッドからレストランのレシートの裏側まで何でも良い。仏製の ロージャのB5サイズメモを長年愛用している筆者にとって、用紙に依存しない airpenは理想的だ。

 ライバルの一つ、Anoto社のデジタルペンは、先端に超小型カメラの取り付け られた専用ペンと同時にその被写体となる専用紙が必須だ。撮影によって解析さ れた筆跡データは内部のメモリーに蓄積される。OEM先によって多少違いはある が、ペン内部に記録・蓄積された筆記イメージは、Bluetooth機能やUSBケーブル 経由でパソコンに一括転送される仕組みだ。

 一方、筆者が愛用しているジャストマイショップのairpenは、アナログのステ ーショナリーとしても十二分に通用するお洒落な皮革製のカスタムホルダーに包 まれている。そしてその内部に取り付けられている「専用メモリーユニット」は、 ホルダーから取り外して単体でも活用出来ることが便利な点だ。

 専用メモリーユニットが皮革製のホルダーに取り付けられている時は、出荷時 のB5サイズ用紙(縦)を前提としているが、A4縦やA4横型等、目的に応じて用紙 サイズの設定をユーザがパソコン経由で変更できる。フレキシブルに用紙サイズ を変更・設定できることは、airpenが専用紙に依存しないことに加えて、より大 きなアドバンテージなのだ。

新鮮なアイデアを自由な表現でタイムリーに記録

 airpenは、手書き文字をデジタイズしたデータを専用メモリーユニットに逐次 記録する。その為、普段はパソコンを必要としない。これがairpenの行動半径を より大きく広げてくれる。乾電池で動作し、使用場所を選ばないairpenは、突然 思いついたビッグなアイデアの鮮度を落とさず、自由な表現で、タイムリーに記 録できる数少ないスーパーツールだ。

 その効果は、一瞬閃いたアイデアを、パソコンのキーボードに向かい、網膜に あるイメージを文字だけで翻訳入力するのとは桁違いだ。人が思いつきや、感動、 そして興奮を他の人に伝えるにもairpenは不可欠だ。デジタル真っ盛りの今だか らこそ、本当に必要なのは、新鮮な感性とアナデジTOOLなのだ。そして、同時に、長く愛用したい、というルック&フィーリングを持ち合わせている。

竹村譲(たけむら・ゆずる)

超大型汎用コンピュータの営業職として日本IBM(株)に入社。DOS/V生みの親として知られるほか、ThinkPad220から始まる一連のIBMモバイル製品の商品企画や戦略を担当。今は亡き「秋葉原・カレーの東洋」のホットスポット化や都市ホテルロビーの無料ホットスポット推進など、数々の珍企画でも話題を呼んだ。自らモバイルワーキングを実践する“ロードウォーリア”であり、「ゼロ・ハリ」のペンネームで、数多くの著作がある。 2004年3月、日本IBMを早期退職し、同年4月より国立高岡短期大学産業造形学科教授。より幅広い活動を目指し、2005年3月、教授職を辞任、現在は国立富山大学 芸術文化学部 非常勤講師。ブランドデザインやデザイン情報が専門。 IT関連企業の戦略顧問等を勤めながら、同年4月よりジャストシステム社が推進する次世代文書処理技術である「xfyプロジェクト」に夢を感じて押しかけ参画中。ライフワークは、独自の「ブランド戦略」や「スローなIT戦略」を踏まえた「ワークスタイル変革」の研究と実践。

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